『仮想通貨の教科書』 第2章 ビットコインが非中央集権を実現している仕組み その2
『仮想通貨の教科書』の 第2章 ビットコインが非中央集権を実現している仕組み を読んだのでメモ続き(その1はこちら)。
2.2 分散型合意形成
ビットコインはピアツーピアネットワークを構成している。
アリスがボブに支払いをする場合を考えると、その取引をブロードキャストし合意形成をとる。
ここで問題となることとして考えられるのが
・悪意があるノードがいた場合に正しくない合意形成される
・ネットワークが不完全なためにすべてのノードが合意形成に参加できない
・ネットワーク全体に分散しているのでレイテンシー(遅延)が高い
2.2.1 不可能性
レイテンシーが高いのでグローバルな時間が利用できない。
そのため、分散型合意形成は研究で不可能性が証明されている。
有名なのが「ビザンチン将軍問題」(Byzantine Generals Problem)。
悪意のあるノードが存在する中でピアツーピアで合意形成ができるのか、という問題である。
他の不可能性として「FLP不可能性」がある。
こちらのスライドシェアの言葉を引用すると
「全ての壊れていないサー バが有限の時間で確実に合意に至るアルゴリズムは存在しえない」という 事を理論的に証明した • 比較的緩い故障モデルでもダメということはそれより下では絶対に無理という事
しかし、ビットコインでは分散型合意形成ができている。
何故なのか。
それは、これらの不可能性が証明されているのは特定のモデルの場合のみ、に対してなので、そもそもビットコインのモデルには当てはまらないのだ。
では、ビットコインのモデルはどの部分が当てはまらないのか。
・第一に、インセンティブという概念を導入した
インセンティブという概念を自然に導入できた背景には、ビットコインが通貨であったかだ。そのため、ビットコインの分散型合意形成は一般的な分散型合意形成への解決策とはならない。
・第二に、無作為性の概念を導入した
ビットコインの合意形成は、無作為性に大きく依存している。それにより、合意形成に1時間ほどの時間がかかり、かつ、完全な形ではない。
しかし、時間が経つにつれてより高い確率での台帳を利用できるようになる。
今後、これら二つの部分について掘り下げて説明する。
参考:
Translations | Mastering Bitcoin
オライリーのMastering Bitcoinの日本語訳がここで読めるようです。
有志による翻訳版なので違法なものとかではないようです。
参考程度に読んでみるのもいいかも。